最終章
~  世界で一番やさしい古道具屋さん  ~


このまちにはふるくなったものやこわれたものをしゅうりしてくれるおみせがあるとききました。
ロクがいつももっているカバンのひもがちぎれそうになったのでそのおみせにいってみることにしました。
おみせのなかをのぞくとふるくてすてきなものがたくさんあります。
かんばんには「 ふるどうぐ と しゅうり 」とかいています。



ろくはそっとおみせのドアをあけてなかにはいってみました。
「ごめんください、だれかいますか」
こえをかけたけどおみせのなかはひっそりとしずまりかえっています。


おみせのなかはふるいきのかおりがただよっていてなんだかなつかしいきもちになりました。


おみせにあるものはどれもだれかがたいせつにしていたものばかりみたいです。
「あっ、このいす!」とロクはおもわずこえをだしてしましました。
「ぼくこのいす、ぜったいみたことある。だれかがすわっているのをいつもみていたきがする」
いすのことをききたくておみせのなかをさがしたけれどだれもいません。
ロクはおみせをでてそとをさがしてみました。


「 コトッ 」ちいさなおとがしたのでふりかえるとさっきまでだれもいなかったのにおみせのまえにおんなのこがいて、はなのおせわをしています。
おんなのこはロクにきがついてふりかえりました。このまちのゆうやけみたいなかみのいろで、おおきくてふかいふかいグリーンのめのおんなのこでした。


「 いらっしゃい なにかおさがし? 」すずのねのようなかわいいこえでおんなのこがいいました。
ロクはカバンをみせてしゅうりをおねがいしました。
「 わかりました、これならすぐになおりますよ。すこしまっていてくださいね 」
そういうとおんなのこはおみせのおくにいってしまいました。
ロクはベンチにすわってまっていると、ほんとうにあっというまにおんなのこがもどってきました。
「 はいどうぞ、これでまたしばらくつかえますよ あなたはこのかばんをだいじにつかっているんですね。てにとるとすぐにわかりましたよ。 どんなものでもたいせつにしているとこころがつうじるようになるんですよ。このかばんはまだまだあなたといっしょにいたいみたいですね 」
ちぎれかけていたかばんのひもはまるでまほうのようにかんぺきにしゅうりできています。
ロクはさっきみたいすのことをおんなのこにきいてみました。
「 あのいすのもちぬしはいつかきっとここにきますよ。だってとってもたいせつにしていたものだからここにあるんですもの 」
「 たいせつなものをさがしてみんなこのみせにやってくるんです 」
「 あなたはこのいすのもちぬしにまたあえますよ。そうすればあなたがさがしているものもきっとみつかるはずです 」
ロクはやいてきたパンをおんなのこにわたしておれいをいいました。
「 またいつでもあそびにきてくださいね。 ロクさん 」そういうとおんなのこはおみせのなかにはいっていきました。
ロクはおもいました。「 あれ、なぜあのこはぼくのなまえしってるんだろう・・・? ふしぎだなぁ」
「 まぁいっか 」そういうとかばんをいつものようにかたにかけてあるきだしました。
ロクはこのまちがだいすきです。 せかいでいちばんやさしいまちだとおもっています。
おじいさんのパンやさんのおしごともだいすきです。もうすぐおみせのかいてんじかんですよ。さぁかえりましょう!